苦難の終わり フリッツ・フォン・ウーデの『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』

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苦難はきっと近いうちに終わる。つらい歩みの先にもう希望が見えています。ウーデ他、希望を感じられる絵を2点ご紹介します。

『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』 1890年 フリッツ・フォン・ウーデ ノイエ・ピナコテーク蔵
『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』 1890年 フリッツ・フォン・ウーデ ノイエ・ピナコテーク蔵

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目次

『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』( Ein schwerer Gang (Der Gang nach Bethlehem) )  1890年 フリッツ・フォン・ウーデ

 『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』 1890年 フリッツ・フォン・ウーデ ノイエ・ピナコテーク蔵
『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』 1890年 フリッツ・フォン・ウーデ ノイエ・ピナコテーク蔵

引用元:『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』

ドイツの印象主義の画家、フリッツ・フォン・ウーデ( Fritz von Uhde, 1848年5月22日-1911年2月25日)の作品です。

「ベツレヘム」とは「キリスト生誕の地」。

サブタイトルに暗示された ❝現代のヨセフとマリア ❞。わびしい寒空の下、ぬかるんだ田舎道の遠近感に、2人の長かった苦難が表現されている。

千足伸行(監修).2008.『すぐわかる西洋絵画よみとき66のキーワード』東京美術.p.21.

身重の女性はキリストを身ごもる聖母マリアを暗示しています。

そして、妻を労り励まし、気遣いながら歩む傍らの夫はヨセフを暗示しています。

『すぐわかる西洋絵画よみとき66のキーワード』によると、道沿いの冬枯れの木は、キリスト誕生の季節(12月)が近いことを暗示しているのだそうです。 

彼らの歩んで来た道のりは決して平坦ではありませんでしたが、いま彼らが辿り着こうとしている村の、手前の家屋(宿屋?)からは煙が上がっているのでしょうか。奥の家にはかすかに灯りが見えます。

温もり。安らぎ。

希望はすぐ近くにあります。

『窓辺の若い農婦とその子供』( Junge Bäuerin mit drei Kindern im Fenster )  1840年 フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー

『窓辺の若い農婦とその子供』 F.G.ヴァルトミュラー 1840年 ノイエ・ピナコテーク蔵
『窓辺の若い農婦とその子供』 1840年 F.G.ヴァルトミュラー ノイエ・ピナコテーク蔵

引用元:『窓辺の若い農婦とその子供』

フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー( Ferdinand Georg Waldmüller, 1793年1月15日-1865年8月23日)は、オーストリア帝国のビーダーマイヤー時代の画家です。

笑いかけ、指差しているのは「子供たちの父親」なのでしょう。愛が溢れていますね。

「聖家族」とも言えそうな、明るい幸福感に満ちていながら、静謐さをも感じます。

彼の絵はしばしば印象派を予告するかのような明るさにみちているが、基本的にはリアリズムで、それはこの絵では特に窓の木枠の描写に顕著である。トロンプ・ルイユ(目だまし絵)的な精密さで描かれたこの枠は、本物と見まがうばかりであり、また同時にこの外側の本物の額縁に代わる描かれた額縁としての役も果たしているのである。

千足伸行(著).2013.『隠れ名画の散歩道』.論創社.p.100.

『食堂にて』( In the Dining Room ) 1886年 ベルト・モリゾ

『食堂にて』 1886年 ベルト・モリゾ ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵
『食堂にて』 1886年 ベルト・モリゾ ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵

引用元:『食堂にて』

女性画家ベルト・モリゾ( Berthe Morisot, 1841年1月14日-1895年3月2日)は、印象派の画家エドゥアール・マネの弟と結婚しました。

この『食堂にて』のモデルは、モリゾの娘ジュリーの子守をしていた女性バベットです。

この作品でモリゾは、生活のためにいやいや働かなければならない労働者としてではなく、自らの意思で働くことを選んだ女性としてバベットを表現し、自立した女性の凛とした美しさを見事に描き出している。

高階秀爾(著).2010.『Art 1 誰も知らない「名画」の見方』.小学館101ビジュアル新書.小学館.p.178.

カッコいいですよね。自分の意思で、自分の人生を生きようとする力強さを感じます。

2020年、今、世の中は非常につらい状況にあります。

誰もが不安の中で生きていると思います。

しかし、この苦難を抜けたら次に来るのはまた希望。そう信じています。

見てくださって有難うございました。あなたにもいいことがたくさん降りかかりますように。 

主な参考文献
  • 千足伸行(著).2013.『隠れ名画の散歩道』.論創社.
  • 千足伸行(監修).2008.『すぐわかる西洋絵画よみとき66のキーワード』東京美術.
  • 高階秀爾(著).2010.『Art 1 誰も知らない「名画」の見方』.小学館101ビジュアル新書.小学館.
すぐわかる西洋絵画よみとき66のキーワード

『隠れ名画の散歩道』と同じ千足伸行氏の本。西洋絵画の「お約束事」が簡潔にまとめられています。

すぐわかる西洋絵画よみとき66のキーワード
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コメント

コメント一覧 (12件)

  • こんにちはー。
    ‘つらい歩み’ は、込められた想いとは別にこういう
    絵が好きですね。自分が雪国育ちだからかもしれません。
    モリゾの絵は、すぐモリゾの絵だってわかりますね。私が見たことあるモリゾの絵は明るい感じの絵画絵画してる絵が多いですね。

  • 蝶々様
    光栄通り越してひれ伏してしまいました。
    こんな時ですから、「希望を感じる絵」を三点挙げてみました。
    息子様のお言葉、何て頼もしい。
    詳しくなくても、ただ「絵が好き」という気持ちが何より大事だと、個人的には思っています。
    ご一緒に観ていただいて、大変嬉しかったです。
    有難うございました。

  • 今回の記事は、息子と一緒に読ませていただきました🥰
    息子に感想を聞くと…難しいけど…もっと絵が好きになれる!だそうです😆👍
    ありがとうございます💗

  • まどろみ様
    これが書かずにいられましょうか。(´;ω;`)
    取り急ぎタブレットでお返事を…と思いましたが、ええい、タップはイラッとするぜ!!とPC開いたところでした。(後程皆様の所にもお伺いします)
    私の方もかなり勉強不足でお恥ずかしいです。こちらでも面倒がらずもう少し整備してから、次の改善策を検討します。お気遣い有難うございました。
    私もすっかりまどろみ様のファンです。今後も追っかけますので、どうぞよろしくお願い致します。

  • ハンナさん、追記ですみません!
    これはお返事お気になさらないで下さいませ。
    他の方は入れて星が付いてる方々がいらっしゃるので、
    ブラウザの問題もあり得るかなぁと思うのです。
    結局の所、私も詳細は不明で何でだろうと思っています。
    しかし、先程も今もコメントも書けて嬉しいです、本当に何度も恐縮です。
    もっと私も勉強して気を付けます!
    ですので今後も読ませて下さい!お願いします<(_ _)>
    ハンナさんがステキ方で嬉しいです、本当に有難うございます!!

  • まどろみ様
    悶絶しそうな程有り難く嬉しいお言葉有難うございます。
    こんな時ですので、少しでも希望を感じられるものをと思い、載せました。
    先程タブレットから、よそ様でお教えいただいたコメントと情報を拝読したところです。お気遣いいただき、本当に有難うございました。
    下のものは以前からやっていた、元の雑記ブログです。レイアウトが崩れたりした為だいぶ下書きに戻し、現在整備中です。完全に趣味に走っているものですが、もし「art」のブログで不具合がありましたら、大変お手数ですが、こちらからお知らせいただくことも可能です。お気に留めていただければ幸いです。
    https://hanna-gemutlichkeit.hatenablog.com/
    ブログが重たい件は改善策を考えます。
    有難うございました。

  • ハンナさん、こんにちは☆
    アクセス出来て、嬉しさひとしおです(*´▽`*)
    ベツレヘムへの道、素晴らしい画で好きな画です。
    と昨日直ぐに書けなくて(>_<) 一目散にハンナさんにコメントを書きたかったです~♬ いつもステキな紹介が素晴らしいです☆

  • まーたる様
    今回も有難うございます。
    キリスト教系の学校に通われていたのですか。だから「人間愛」に溢れるまーたる様なのですね🌸。大丈夫です、まーたる様は既にカッコよく自分で立っている憧れの女性です。
    それぞれに未来に「希望」が持てる絵だと思うのですが、三枚目の『食堂にて』は自分の仕事や生き方に対する誇りが感じられて大好きです。まだ「職業婦人」としては生きづらい時代に、自分の意思で働く彼女と、そのプライドや自立心を描き出したモリゾの感性がいいなと。
    現在、世界の状況は非常にツラいけれど、次には希望が見える筈と思い、今回の三枚を挙げてみました。
    読んでくださって有難うございました。

  • schun様
    読んでくださって有難う有難うございます。
    寒々しい天候のなか寄り添って歩く道の果てに、希望が見えるような気がする一枚です。他にもそう思えるものがあるのですが、今回は三点挙げてみました。
    苦境続きに悲しくなることもありますが、それが終われば次は希望が見えると信じています。
    有難うございました。

  • おはようございます(*´∀`*)
    学生時代キリスト教系の学校に通っていたので、なんだか懐かしい気持ちになりながら『つらい歩み(ベツレヘムへの道)』を拝見しました。
    寄り添う夫婦のお互いへの労わりと愛情を感じて、もうすぐだから頑張って❗️と思わずにはいられなかったです。
    二人が歩んできた道がどのような道なのか、絵画全体の色合いで想像できて、その技術に脱帽であります。
    個人的に一番最後の絵がとても好きです。
    しっかりとした『自分』を持った、凛とした強い女性。
    憧れます(●´ω`●)
    そんな女性になりたいと強く思いました。
    苦難を乗り越えた先には、もう希望しかありません❗️
    (*´∀`*)
    楽しみに前進していきますね╰(*´︶`*)╯♡

  • おはようございます!!
    『つらい歩み』タイトル見てドキッとしましたが、
    ホント雰囲気出てますね。
    辛そう~ってとっても感じました。
    冬という背景的な構成も暗示されていてやっぱり買いがってすごいなって感じました。
    その人の子供たちもまるで生きているみたい。
    絵ってホント不思議ですよね(笑)。

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