トレンドは黒で縁取ったアイラインとオークルの肌!(古代エジプトの化粧)

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女性雑誌の見出し風に言ってみた「一瞬行った気になる古代エジプト」のアイメイク編です。

これでもう古代エジプトの宴会に招待されても大丈夫。周囲から浮かない色選びができます。

ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像
ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像 古王国時代 第4王朝 エジプト考古学博物館蔵
目次

あなたは大丈夫?パーティーに招かれてももう慌てない!

脱毛で愛され肌!

古代エジプト人は体毛のお手入れを習慣としていました。

ノミやシラミなどの虫を寄せ付けないという効果もあったため、体毛は定期的にカミソリで剃るか、または、むしり取りました。

暮らしに余裕の無い人たちがカミソリとして用いたのは、身近にあった火打ち石でした。

シェービングローションの代わりには安価な油を使用し、脱毛・除毛後は体を頻繁に洗います。

当時は石鹸が無いので、ナトロンの灰やソーダで汚れを落としました。

ナトロンの袋 ツタンカーメン王のエンバーミング・カシェより 紀元前1336年-紀元前1327年頃
ナトロンの袋 ツタンカーメン王のエンバーミング・カシェより 紀元前1336年-紀元前1327年頃

引用元:ナトロンの袋

ナトロンはミイラ製作に欠かせない材料でもあります。用途は広い!

最初にカミソリとして使用されたのは火打ち石の刃でしたが、すぐに鈍くなるので使い捨てでした。

その後、金属加工の発明とともに長持ちする刃が開発されました。

 銅製の剃刀は、前第3000年紀にエジプトとインドで普通のものとなっていた。古代エジプト人は、顔に毛が生えているのは身だしなみの手抜きであると一般に考えていた。ー とはいっても、流行には変化があって、きれいに剃った口ひげや、少しの顎ひげをつけていることが許されるときもあった。金持ちは床屋を家庭の中で雇っていたが、比較的貧しいエジプト人に仕えた床屋もいた。紀元前1700年頃に書かれた『職業風刺』は、町を巡業する床屋が「顎」を生け贄に捧げて「ひげを剃らせてくれる人々を求めて通りから通りへと」歩くところを描いている。

『古代の発明』 ピーター・ジェームズ、ニック・ソープ(著) 矢島文夫(監修) p.276.

入浴から始めるパーティー準備

さて、宴会に招かれました。

化粧から最新流行の衣服まで、細心の注意を払わねばなりません。

貴婦人たちは入浴から始めます。

一部の、裕福な特権階級に属する人びとは、家にユニット型の浴室を持っていました。

「体を洗う人が、排水口がついた石の洗い桶のようなものの中に立って、召使いが頭の上から水をかける」人力ものだったようですが、召使いとの間にはちゃんと間仕切りまであったようです。

国民の大半は浴室には縁が無く、体を洗うのはナイルの土手か、灌漑用の運河でした。(参考:『イシスの娘 古代エジプトの女たち』.新書館)

すぐにできる乾燥対策!至福の香油

入浴を終えたら、今度は皮膚の乾燥を防ぐため肌に香油や軟膏を塗ります。

エジプトの香料は最高級で超高価でした。

精油を蒸留する技術はまだ無く、香りがしみ込むまで花を油に浸しておき、できたものを使用していました。(参考:『図説古代エジプトの女性たち よみがえる沈黙の世界』.原書房)

アイメイク至上主義!

化粧は風呂に入ることから始められ、その後全身に香油を塗り込み、目の化粧を行う。古代エジプトでは、古王国時代から新王国時代に至るまで、男も女も目の回りに黒もしくは緑色のアイシャドーを塗っていた。これは、目から入る悪魔を防ぐという宗教的な意味があったためであるが、実際には、古代に流行していた眼病の予防効果の方が大きかったようである。そして時代が下がるにつれて、特に女性たちにとっては、魔除けというよりおしゃれの要素の方が強くなっていった。目の化粧には方鉛鉱の粉から作られた黒色と孔雀石の粉から作られた緑色のアイシャドーが使われ、はじめは目の上には黒色を、下には緑色を塗るのが普通であったが、新王国時代になると、女性たちの間では、目をいっそうはっきりとみせるために、黒色だけで縁取るのが流行したようである。そして唇には、赤色の酸化鉄、もしくは赤鉄鉱から作られた口紅が塗られた。

『貴族の墓のミイラたち』 吉村作治(著) 平凡社 p.200.

このように、男性も女性も目にアイ・シャドーをしていました。

もともと宗教的なものや眼病予防だったものが、だんだん「見栄え」に傾いていったようですね。

『香料文化誌 ―香りの謎と魅力ー』では、

女性の多くは、描き眉をし、目の下に濃い黒い線を引けば、目が美しくなると考えた。季節季節で異なる種類の顔料が用いられたが、目蓋まぶただけは必ず同じ顔料を塗らなくてはならなかった。

『香料文化誌 ―香りの謎と魅力ー』 C.J.S.トンプソン(著) 駒崎雄司(訳) p.27.

この本にあるように、季節ごとに化粧料を変えたんでしょうかね。

目ヂカラをアゲてみんなを私のトリコにする!

知っていそうで知らない「コール」

コールとは、『古代の発明』によると、「鉱物性アンチモンか、鉛の原石である方鉛鉱からつくったもの」(P170)と説明されています。

方鉛鉱
方鉛鉱

引用元:方鉛鉱 Ivar Leidus CC-BY-SA-4.0

日本語では「方鉛鉱(ほうえんこう)」ですが、コールはコホルとも表記されます。(つづりは Kohl, Khol, Kohol )

コールの原料である方鉛鉱は鉛の化合物で、抗菌作用があり、ハエ除けにも効果的だったそうです。

しかし、長く使用した場合は鉛の体内蓄積を増大させ、中毒を引き起こしてしまいます。

そのため現在では、方鉛鉱を原料にしたコホルは生産されていないということです。(参考:『古代エジプトの埋葬習慣』.ポプラ新書)

孔雀石であこがれナイル色!

孔雀石(マラカイト)
孔雀石(マラカイト)

引用元:孔雀石 Rob LavinskyiRocks.com CC-BY-SA-3.0

アクセサリーにも使われている「マラカイト」です。

孔雀の羽根のような色ですね。

『西洋化粧文化史』ではこのように記述されています。

 彼女たちの用いた黒の化粧料は、香りのある樹脂やアーモンドの果皮を黒焼きにして粉にしたものや、硫化アンチモンやマンガンを原料にしたものであった。それを象牙または細い木の棒でまぶたにぬった。この化粧料はコール( Kohl )とよばれていた。彼女たちは、コールをまつげや、マユ毛の下の皮膚にも手間をかけて根気よくぬった他、おしゃれな女はコールをぬった外側に、さらに緑色の絵具をぬった。マユ毛には方鉛鉱や硫化鉛をつけた。

『西洋化粧文化史』 青木英夫(著) 源流社 p.24.

うん、お洒落。

かわいいパレットでお手製パウダー

どのようなで道具で鉱石をすり潰したかというと、『古代エジプトの埋葬習慣』では、

石製のパレットとすり石で原石を砕いて粉末にし、獣脂と混ぜて用いられていた。

和田浩一郎(著).2014.『古代エジプトの埋葬習慣』.ポプラ社. p.236.

とあります。

化粧用パレット 紀元前3600年頃-紀元前3200年頃? ルーヴル美術館蔵
化粧用パレット 紀元前3600年頃-紀元前3200年頃? ルーヴル美術館蔵

引用元:化粧用パレット Rama CC-BY-SA-3.0-FR CC-BY-SA-2.0-FR

ルーヴル美術館のサイトはこちらです。

ルーヴル美術館の収蔵品である魚形の化粧用パレットは、紀元前3600年頃-紀元前3200年頃のものだそうです。

パレットにすり出された方鉛鉱や孔雀石の鉱石は、アラビア糊や油と混ぜ合わされ、パウダーやペースト状にして供給されました。(参考:『図説 古代エジプトの女性たち よみがえる沈黙の世界』 原書房

瞼にアイシャドーを塗ってみよう

今日と同じようにアイ・シャドーは、スティックで瞼の上下両方の内側に塗りつけ、耳に向かってその線をのばす。それは純潔と関連づけられ、目を病気の感染や蠅から守るものであった。神官はアイ・シャドーをつけて、午前の礼式のあいだ神の彫像に油を注ぎ、神聖を仰いだ。それは死者のための副葬品の一つとしてリストに挙げられていたものだ。

ザヒ・ハワス(著). 吉村作治・西川厚(共訳). 2007-8-23. 『図説 古代エジプトの女性たち よみがえる沈黙の世界』. 原書房. p.185.

私の最愛保存容器「コール・チューブ」

そして作ったアイシャドーのパウダーをどのように保存するか、ですが、やっぱりステキな容器に保存していました。

各美術館の説明では「コール・チューブ」( Kohl Tube )となっていることが多いです。

ここでは筒形コール用容器を挙げましたが、他の形もあります。

ウォルターズ美術館のガラス製コール・チューブ

コール・チューブ 紀元前1400年ー紀元前1300年頃 新王国時代 ガラス製 ウォルターズ美術館蔵
コール・チューブ 紀元前1400年ー紀元前1300年頃 新王国時代 ガラス製 ウォルターズ美術館蔵

引用元:柱型のコール・チューブ Walters Art Museum CC-PD-Mark CC-BY-SA-3.0

ガラス製で、神殿などに使われた柱のような形をしています。高さ 9.7 × 直径 3.5 cm です。

メトロポリタン美術館のファイアンス製コール・チューブ

コール用容器 メトロポリタン美術館蔵
コール用容器 メトロポリタン美術館蔵

引用元:コール用容器

メトロポリタン美術館の解説はこちらです。

綺麗な青色の、筒状のコール入れ。高さ14.4×直径1.8㎝の大きさ。

新王国時代第18王朝(紀元前1390年-紀元前1352年頃)のもので、メトロポリタン美術館の解説には、「アメンヘテプ3世とシトアメン王女の名が刻まれた筒状コホル入れ」とあります。

国王から与えられた記念品と思われるとのことです。

ロサンゼルス郡美術館の二連のコール・チューブ

また、下の画像の容器には穴が二つありますが、チューブは二連になっていることも多く、その場合は黒色と緑色のコホルが入れられていたと推測されるということです。(参考:『古代エジプトの埋葬習慣』 ポプラ新書)

コール・チューブ 紀元前1315年-紀元前1201年頃 第19王朝 ロサンゼルス郡美術館
コール・チューブ 紀元前1315年-紀元前1201年頃 第19王朝 ロサンゼルス郡美術館

引用元:二連のコール・チューブ  CC BY-SA 3.0 ロサンゼルス郡美術館の画像(蓋が付いた状態で見ることが出来ます)

横の棒はコール・スティックです。

 コール墨は石やファイアンス焼き、あるいはガラスなどで作られた細く小さい瓶やチューブに保存された。しばしばロータスの花で飾られるなど、コール墨はすべての女性の化粧道具箱には欠かせないものであった。化粧道具箱には他にも、胴やブロンズの毛抜き、髪や爪を切るためのナイフ、そして胴やブロンズの円板でできた楕円形の鏡なども収納していたようだ。

ザヒ・ハワス(著). 吉村作治・西川厚(共訳). 2007-8-23. 『図説 古代エジプトの女性たち よみがえる沈黙の世界』. 原書房. p.185.

メトロポリタン美術館のコール・チューブ、毛抜き、手鏡、カミソリ、砥石

毛抜き、コール入れ他 新王国時代 メトロポリタン美術館蔵
毛抜き、コール入れ他 新王国時代 メトロポリタン美術館蔵

毛抜き、コール入れ他

メトロポリタン美術館の解説はこちらです。

紀元前1550-紀元前1458年頃、新王国時代のメイクグッズです。

話題のトレンド・カラー、あなたはどれを選ぶ?

あの女性も使ってた!肌を美しく魅せる隠しワザ

『古代の発明』では、コールや孔雀石以外にも緑色のラピスラズリもアイシャドーとして使用したとあり、クレオパトラは眉毛とまつ毛をマスカラで修正して、上の瞼には青色を、下の瞼にはナイル川の色の緑色を塗ったそうです。

化粧品の成分物質は、革かリンネルでできた小さいバッグの中にまとめて保存され、パレットの上で細かい粉にして、木、象牙、銀、ガラス、青銅製の湿らしたスティックを使ってつけた。こうした化粧品の成分物質とそれを粉末状にするためのパレットが入った化粧道具は、早くも紀元前4000年にさかのぼる古代エジプトの貴族の墓でよく見つかる。女性も男性も皮膚を黄土で明るくしたが、女性だけはオレンジペイントを使って色をより暗色にした。赤土や脂肪の赤色は頬につけ、唇にも同じ混合物をつけた。

『古代の発明』 p.170.

「黄土」色との言葉が出て来ましたが、お肌に関しては、

また首すじや胸には、緑色で血管を描き、古くからある絵具の顔料を肌にぬった。特に黄金の肌といって喜ばれたオーカー調の肌をつくった。クリーム、オイル、化粧用の膏薬なども愛用され、体には香油をぬり、爪もヘンナで黄色く色どった。

『西洋化粧文化史』 青木英夫(著) 源流社

ocre、オーカー、オークルともいいますが、「黄土」色です。

王妃頭部断片(黄色の碧石) 新王国時代 第18王朝 メトロポリタン美術館蔵
王妃頭部断片(黄色の碧石) 新王国時代 第18王朝 メトロポリタン美術館蔵

引用元:王妃頭部断片 CC-Zero

メトロポリタン美術館の解説はこちらです。

王妃ティイでは?との噂がある像。断片しかなくても充分美女だとわかりますよね。

黄土色肌のイメージとして挙げてみました。

どこに行くにも大好きメイクグッズは手放せない!

日常生活に必要な化粧道具は、死後の世界にも欠かせないものでした。

先王朝時代からずっとそうだが、ふつうの庶民の男女は埋葬の副葬品に、眼の化粧に使った彫刻パレットと顔料を入れさせている。社会階級がまるで異なる人たちにしても様子は変わらない。王族の墓には化粧セットが置かれ、それがとても手の込んだ装飾を施したものであるのを見ても、持ち主が化粧品をどんなに大事にしたかがよくわかる。

『イシスの娘 古代エジプトの女たち』 ティルディスレイ(著) 細川晶(訳) 新書館 p.174.
イシスの娘 古代エジプトの女たち

私が興味があるのって、古代に生きていた一般の人々がどのように生活していたのかというところです。

何を着て、何を食べ、何を楽しみにしていたのか。気になる相手に自分をより魅力的に見せようとした時、ひとは何をしようとしたのか。これからの研究にはとっても期待しています。

『イシスの娘 古代エジプトの女たち』はちょっと古い本ですが、古代の女性たちの生活の一端を垣間見ることができる書籍だと思います。

年号やファラオの名を覚えるのも勉強には大事です。でも、読んでいて楽しいのはこういう本。こうした本を若いうちに読んで、将来研究者を志すひとが出てくるといいなあ。

ご興味があれば、ぜひご一読を。

ファッションリーダーのお手本アイメイク

王子様とお妃様のアイメイク

ラーヘテプ王子( Prince Rahotep )と妻ネフェルト( Nofret )座像

ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像 古王国時代 第4王朝 エジプト考古学博物館蔵
ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像 古王国時代 第4王朝 エジプト考古学博物館蔵

引用元:ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像 Djehouty CC-BY-SA-4.0

ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像
ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像

引用元:ラーヘテプ王子と妻ネフェルト座像 Djehouty CC-BY-SA-4.0 

目は水晶等で象嵌されています。

この墓の発見時、作業していたエジプト人が「中に生きている人間が座っている」と驚いて逃げ出したそうです。

※Wikipediaでは「中王国時代」となっていますが、『芸術新潮 2009年9月号』では「古王国時代」となっています。

永久保存版!神官界のイケメンたち

カーアペル( Kaaper )立像

カーアペル立像 古王国時代 第5王朝 エジプト考古学博物館蔵
カーアペル立像 古王国時代 第5王朝 エジプト考古学博物館蔵

引用元:カーアペル立像 Djehouty CC-BY-SA-4.0

カーアペル立像
カーアペル立像

引用元:カーアペル立像 Brad773 CC-BY-SA-4.0

「カーアペル立像」は朗唱神官長の称号を持つ高官の墓から発見されました。

眼球は黒曜石と水晶が嵌めこまれていて、眼のふちの部分は銅製。エジプト美術がなぜこれほど目を強調するかというと、すべてのものは目から入ってくるという考え方があるからです。彫像は目を入れることで生気を得ますし、壁画も目を最後に描く。ですから墓泥棒は悪事を見られることを恐れて、まっさきに目を潰すのです。アイシャドウも単にお化粧というだけではなく、邪悪なものが目に入らないように守るという意味もあるのです。

『芸術新潮 2009年9月号』
カーアペルの妻 古王国時代 エジプト考古学博物館蔵
カーアペルの妻 古王国時代 エジプト考古学博物館蔵

引用元:カーアペルさんの奥様 Jon Bodsworth

エジプト考古学博物館蔵の書記座像

書記の像 第4王朝 エジプト考古学博物館蔵
書記の像 第4王朝 エジプト考古学博物館蔵

引用元:書記の像 Copyrighted free use

家庭で実践!古代エジプトの書記・アニからのアドヴァイスでは、「第4王朝(紀元前2613年頃 – 紀元前2498年頃 古王国時代)の書記」としましたが、『芸術新潮 2009年9月号』では、「第5王朝 紀元前2479年ー紀元前2322年頃」となっています。

なりたい顔はこんな顔!

メンナ( Menna )の墓の壁画

メンナの墓の壁画 紀元前1422年-1411年頃 第18王朝 新王国時代 
メンナの墓の壁画 紀元前1422年-1411年頃 第18王朝 新王国時代

引用元:メンナの墓の壁画に描かれた女性

メンナの娘(メンナの墓の壁画) 紀元前1422年-1411年頃 第18王朝 新王国時代
メンナの娘(メンナの墓の壁画) 紀元前1422年-1411年頃 第18王朝 新王国時代

引用元:メンナの娘 CC-Zero

メトロポリタン美術館の解説はこちらです。

第18王朝時代の役人・メンナさんの墓地の壁画です。

上は宴会に出席した女性、下はメンナさん夫妻の娘さんのようですが、どちらも綺麗な顔立ちと彩色ですね。

王妃ネフェルティティ( Nefertiti )胸像 

ネフェルティティ胸像 紀元前1345年頃 ベルリン新博物館蔵
ネフェルティティ胸像 紀元前1345年頃 ベルリン新博物館蔵

引用元:ネフェルティティ胸像 Giovanni  CC-BY-2.0

新王国時代、第18王朝のファラオ・アメンホテプ4世の正妃ネフェルティティの胸像です。

まるで生きているようですね。

ネフェルティティの像は、ほとんどが未完か習作。この胸像だって、恐らく制作途中のものでしょう。この時代、胸像というスタイルはほとんどないし、左目は象嵌されていませんからね。

『芸術新潮 2009年9月号』

像、壁画の人物のアイラインはどれもハッキリクッキリしていますね。

やはり唇より目の化粧に力を入れていたようです。

主な参考文献
  • 『古代の発明』 ピーター・ジェームズ、ニック・ソープ(著) 矢島文夫(監修)
  • 『香料文化誌 ―香りの謎と魅力ー』 C.J.S.トンプソン(著) 駒崎雄司(訳)
  • 『貴族の墓のミイラたち』 吉村作治(著) 平凡社
  • ザヒ・ハワス(著). 吉村作治・西川厚(共訳). 2007-8-23. 『図説 古代エジプトの女性たち よみがえる沈黙の世界』. 原書房.
  • 『イシスの娘 古代エジプトの女たち』 ティルディスレイ(著) 細川晶(訳) 新書館
  • 『西洋化粧文化史』 青木英夫(著) 源流社
  • 『芸術新潮 2009年9月号』
  • 和田浩一郎(著).2014.『古代エジプトの埋葬習慣』.ポプラ社.
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コメント

コメント一覧 (25件)

  • Pちゃん (id:hukunekox)様
    返信遅くなって申し訳ありません。
    コメント有難うございました。
    はてなの更新情報、たまに当てにならない時がありますよね。最近建物のネット断絶が激しいのに加え、記事とかコメント欄書くにも不調を感じる…(;´∀`)
    アイライン、というか、アイメイクは男女ともに眼病予防でやっていたようです。面白いですよね。
    私が一番先にハマった文化史はこのあたりなのですが、当時は大学で開講されている所も少なく、ネットも無かったし、本もどれを見ていいかわからず、知るのに結構苦労しました。
    その後、他大学に聴講に出掛けたり(私の専攻はナンチャッテ・ドイツ哲学なので全く専門外)、カルチャースクールや宝石学校に通ったりしましたが、現代はいいですねえ。海外のAmazonでも洋書がふつーに買える時代ですもんね。
    世界中の博物館・美術館を回るのは大変ですが、また時空越えの美術品の旅を楽しんでいただければ嬉しいです。

  • ことぶ㐂(ことぶき) (id:lunarcarrier)様
    返信遅くなって申し訳ありません。
    コメント有難うございました。
    え~ほんとですかあ(≧▽≦)?そう仰ってくださるのが、すっごく嬉しいです。
    ファンが増えたら、その県とか地域の文化水準が上がるでしょう?
    図書館、公民館とかで美術展が増えるでしょ?
    そしたら大きな公立の美術館が、「じゃあ有名なものの展示、やっちゃおうかな」と、有名作品を読んで来るかも。
    そしたら日本にいながら、すんごい美術品を見ることができるじゃないですかあ(^o^)/。
    現地で観るのが最高ですが、地方在住の老人・病人ではなかなか難しいですからね。
    うう、このブログやって良かった(ノД`)・゜・。

  • id:nonshan様
    コメント有難うございました。
    読者登録もしていただき、有難うございました。
    この記事のあと、ネットで「頭上の円錐形のもの発見」記事で、これまでの定説と異なることがわかり、私の過去記事を読んでくださった方が間違うといけないと思い、無理矢理一記事先にあげさせていただきました。返信が遅くなって本当に申し訳ありません。
    単なる文化史ファンの私に「専門」があるとしたら、19世紀末の西洋雑貨または化粧史・服飾史でありたいと思っていまして、壮大な古代エジプト史は手に余る(笑)し、また定説が覆るかもしれません。しかし、美術品に同じように興味を持ってくださる方と一緒に楽しみたいと思います。
    ぜひまたよろしくお願い致します。

  • まーたる (id:ma-taru)様
    返信が遅くなって本当に申し訳ありません。
    コメント有難うございました。
    アイメイク、やっぱり「古代エジプト」「エキゾチック」なイメージですよね。くっきり際立たせてますもんね。本当にその時代のひとを見たとしたら、どうなんでしょう、ケバい?コワい?それともやっぱり魅力的?
    想像が膨らみます。
    ネフェルティティはかなり実物っぽく作っていると(勝手に)思っています(笑)。今手元に無くて見られないですが、ネフェルティティを探る「再現」DVDも出ていて、一気に古代エジプトに行った気になれますよー(*´ω`*)。ひょっとして、YouTube(ディスカバリーチャンネル)に出てるかな?
    「王家の紋章」、一巻しか記憶に無い…でもやっぱり読んでみたいな。大人買いすると結構な出費なので、つい後になってしまいます💦

  • schun (id:schunchi2007)様
    返信遅くなって申し訳ありません。
    コメント有難うございました。
    邪悪なものを寄せ付けない、ハエが目に飛び込むことを防ぐなど、最初はそうだったのかもしれませんが、そのうちそれがやっぱり魅力盛り盛りになった、らしいです。でも、定説はもしかしたら、新たな発見でいつか覆るかもしれません。それも古代史の楽しみです(^^)。
    古代から、中世、近代に至る化粧の歴史はとても面白く、私が最初にハマったのもこれでした。昔は本も少なく、知るのに苦労しましたが、今はネットがあってとても便利です。
    またよろしくお願い致します。

  • えんちゃんぐ (id:ennchang)様
    返信遅くなって申し訳ありません。コメント有難うございました。
    家で家族が寝静まった後練習したり、何度かアイラインに挑戦しましたが、一度も上手く引けた試しがございません。なんかギザギザというか、「はあ?」みたいな悲惨な線なんですよね。マスカラはパンダみたいになっちゃうし。
    ですので、アイライン引いた状態で人前に出たことはございませんです、はい(笑)。

  • 森下礼 (id:iirei)様
    返信遅くなって申し訳ありません。コメント有難うございました。
    「ポワゾン」の香水、なつかしい…。毒は吐くばかりではなく、色香で迷わせる方に使用してみたいものです。ま、私にゃ無縁なんですけどねぇ。
    現代の私が化粧史など見ると、鉛や水銀が登場する頻度に驚きます。美しくなりたいのに、お肌がボロボロ…。それどころか…。怖いですね。仰るように、実際に鉛の害に「当たった」ひともいたのではないかと思います。研究が進めば、いつの日かそういうことも明らかになるのでしょうね。

  • どんぐり (id:saki-compass)様
    返信遅くなって申し訳ありません。コメント有難うございました。
    「より美しくありたい」気持ちが時空を超えて伝わって来ますよね。
    アイシャドウで青とか緑とか聞くと、若干バブルの感じを連想するのですが、こうして見るとアイメイクの目力っていいなあと思い、私でもやってみたくなります。要は技術か?いや、面倒がらずにやる「気持ち」かも。

  • id:kagenogori様
    返信遅くなって申し訳ありません。コメント有難うございました。
    カーアペルさんの目力、強いですよね(笑)。次の回では奥様にも登場していただきました。
    王子夫人のネフェルトさんの色の白さには意味がありまして、もう何回か後でやるのですが、像の女性は「白く」するのがお約束なのであります。
    ネフェルティティ、わかります。アレですよね。あの曲ね。
    そして、コワそう(性格が強そう)なのは同意です。

  • こんばんは(*´∇`*)
    え〜〜〜〜ん💦ごめんなさい更新されてたんですね💦ちょっとスマホがバグってまして、更新情報が届いたり届かなかったりしててご無沙汰してしまいました(^人^)新しいスマホ注文中ですw😂ところで、すごいですね✨
    カーアペルさん、生きてるかのよう、、
    古代ここまで技術が進んでたことにびっくりです
    アイライン、男女共にしてたんですかぁ
    今までの謎が解けました✨目の病気予防だったのですね〜
    ネフェルティティ、このような顔立ち現代にもいそう、、貴重な画像見せて頂いてありがとうございます😊🌸

  • だるころ9216 (id:darucoro9216kun)様
    足の意味はですね…、はっ!!いかん!
    言っちゃうとこでしたあ!!
    改めて、まとめてやりますね(笑)。
    だって、記事内で言っちゃうと長くなるし、テーマがぶれてしまいますから💦
    じゃ、仕事行ってきます!!

  • わぁ~来たぁ~!
    「村長」って(笑)
    パン職人っぽいお腹も魅力的ですよね。
    「古代エジプトの像」特集って楽しみです。
    今まで拝見して、かぶり物?大好きっぽいですもんね。
    (かぶってるのか?実際はかぶって無いけど、威厳のある人の姿を想像して残してるのか?)
    カーアペルさんで、もう一つ気になった事が有ります。
    杖を突いてますよね?でも、杖を突いてる方の足を前に出してる。普通は歩いてるなら、杖を突いてない方の足が出る筈なんです。この姿は構えてる立像ですね。すぐに攻撃できる態勢です。
    そんな態勢なのに、表情は比較的穏やかです。きっと、国が豊かだったので何かの警備をしてる感じなのでしょう。
    (勝手な想像です。でも、その当時の景色が見えて来ました)

  • だるころ9216 (id:darucoro9216kun)様
    今回も読んでくださって有難うございます。
    「色も自然から分けてもらってた」、いい言葉ですね。素敵です。
    カーアペルさん、修行僧みたいですね。お腹の出具合と言い、風貌と言い、知人の誰かに似ている気がします。実際、「俺たちの村の村長に似ている」という言葉から、彼には「村長」というあだ名もあるそうです。
    もう少し解説を載せたかったのですが、あまりやるとあっさりネタが尽きますので(;^ω^)、短め。
    しかし、だるころさんのお言葉から、別の記事でまるごと「古代エジプトの像特集」をやってみたくなりました。
    次回はまだ「宴会に行く前の準備・2」です。
    またどうぞよろしくお願い致します。

  • ko-todo (id:ko-todo)様
    コメント有難うございました。
    淡谷のりこさん?アイシャドウの話、そう言われてみればうっすら聞いたような…。今一気に昭和のメイクが浮かびましたよ。
    メイクの歴史は好きだけど、自分で仕上げるのは苦手です。アイラインを自力で引くと人前に出られない状態になるし、まぶたもたまにやるから塗り過ぎるし、眉も「お手入れってなに?」状態です。すっぴん楽~(*’▽’)。
    ネフェルティティ、美しいですね。ほんとにあんな感じだったのでしょうか。もうあれで後世の美の基準ができちゃった気がします。(罪なオンナだわ)
    で、前から思っていたのが、「貴婦人たるもの、自分で自らメイクするのか?」。
    王妃様が自分でやることは無かったと思いますが、貴族女性は??
    私は多分、誰かがある程度やってくれていたのだと思いますが、どうなんでしょう。
    あ、でも、ポンパドゥール夫人が自分で頬紅付けてる絵もあるしな(;^ω^)。あれもポーズかなという気がするんだけど。(また調べてみます)
    古代文明はまだ未解明な部分も多いから、専門家が書くこの手の本も少ないんでしょうかねえ。
    ところで、先日、情報収集をサボっていたら、興味深い記事を見つけました。これ、私が記事にした「古代エジプト人の身だしなみ」に関連するもので、次回もこの記事から宴会につなげて行こうとしていたところでした。
    なるべく早く記事にしたいと思っています。
    どうかまた次回もいろいろ鋭いご指摘をお願い致します。

  • 切株おやじ (id:masuhiro6595)様
    ブックマークしてくださって有難うございました。
    アクセサリーとしても顔料としても、私はラピスラズリを尊敬しています(^O^)。

  • 五千年とか六千年前からアイメイクの基本は変わってないのですね。
    ハンナさんのブログを拝見していると自粛明けたら博物館に行きたくなります。

  • ハンナさん、エジプトの文明の深さに引きずり込まれるように読ませて頂きました。
    少しづつバックナンバーにも挑戦します。なかなかこれだけの事を知り得ないので感謝します。

  • こんばんは(o^^o)
    エジプトといえばアイライン❗️といっても過言ではないくらい、目元の印象がすごく強いですね(*☻-☻*)
    目力が半端ないです❗️(*´∀`*)
    アイラインの色は黒がほとんどなのですね。
    やっぱり一番目元くっきりになるからなんでしょうか。
    いろんな像を拝見して、どの像も魂が宿っている❗️と思うくらいリアルでした〜( ̄◇ ̄;)
    作業員が人がいる❗️とびっくりするのも頷けますね❗️
    王妃ネフェルティティの胸像はすごく美しいですね❗️
    いろいろあった王妃だと思ったんですが、権力の座にいると一般人が思う以上に駆け引きだったりいろんなことがあるんだろうなと感じました。
    美しさの中に芯の強さも感じられて、私はネフェルティティ王妃好きです(●´ω`●)
    今回もとても勉強になりました❗️
    なんか「王家の紋章」読みたくなりました❗️
    これから読みま〜す(*≧∀≦*)

  • こんばんは~。
    目力が大事だったんですかね~。
    皆さん、強調されていますね。
    鉱物でアイシャドーってのもびっくりしました。(笑)
    でも、アイシャドーの色と鉱物の色を考えるとうなづけます。
    いろんな時代にいろんなトレンドがあって、
    自画像などはそれがわかる歴史素材的な一面を持っているんだなぁ~
    って拝見しながら感じました。
    今日もお勉強になりました。
    ありがとうございました!!

  • 面白すぎです‼️
    目がしばしばする程真面目に読んじゃいました(笑)
    実は私は生まれてから1度もアイラインを使ったことがありません。
    機会がないままこの歳になってしまいました。
    風呂に入った後にはしっかりと保湿し、素敵な化粧を施す…
    なんとも言えない贅沢な時間のように思えます。

  • 方鉛鉱、何といっても「鉛」という毒物を含んだアイシャドー材料ですから、実際に使用したエジプト人には、「当たった」人もいたのでは?
    化粧品にはフランスの「ポアゾン」(=毒)といったように、毒物が美を導くこともあるのでしょうかね。ポアゾンの場合、化粧するのは女性で、その色香に迷う男性にとって毒なのでしょうが。

  • ハンナさん
    縁取りアイライン、なんだかおしゃれに見えてきました!グリーンも素敵ですね。昔は私もブルーやワインレッドなどのカラーアイラインを使ったりしていましたが、これから夏なので黒とグリーンで縁取ってみようかな?笑笑
    おしゃれのために時間をかけてメイクをしていただなんて本当に驚きです!

  • カーアペルさんとは、目を合わす自信(笑)がありません。
    メンナさんの娘さんは美しい(*‘∀‘)
    ちょっと気が強そうだけど(笑)。
    ネフェルトさん、肌と目の色からすると白人の方だったのでしょうか。
    美しくて優しそうだけど、怒らせるとコワそう(笑)。
    ネフェルティティは、マイルス・デイヴィスの曲で名前は知っていましたが、お顔は初めて拝見しました。コワそう(笑)。
    「コワそう」と何度も言ってしまいました(笑)が、正しくは「凛としている」というべきなんでしょうね。
    エジプト、なんか身近なカンジ(笑)があっておもしろい(^ω^)

  • 昔から化粧道具ってなんでもそろってたんですね!
    オシャレな時代だったのが分かります。
    色も自然から分けてもらってたんですねぇ↑素晴らしい限りです。
    アーカペルさんは僧みたいです。ちょっと勇ましい僧です。表情がキリっとして輝いてますね。目の輝きを丁寧に作ったのが分かります。時間をかけて作ったんでしょうね。生活様式を残すことが、後世にとって大切だってことを理解していたんでしょうか?
    素敵だけど不思議な感覚です。

  • 日本で最初にアイシャドウを使ったのは淡谷のりこさんだったと言われているけれど…。
    日本に到達するまで随分と時間がかかったのですね…。
    色々なものを纏って自分自身を装う…。
    大変そうですじゃ~
    いつも、ほぼスッピンの私。
    実は…
    アイラインがうまく引けない…
    眉もうまく描けない…
    この時代の上流階級の生活は無理~ww
    そういう人の為のメイク係さんとかもいたのかしら…。
    知的で美しいネフェルティティ…
    最初の出会いは、筒井康隆さんの作品だったけれど…^^;
    彼女ならば、メイク無しでもいけるんじゃね?って感じがするのだけれど…。
    あれやこれやと大変な時代。
    やっぱ、目力が大事だったのかもですね。

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