江戸の猫を集めた『江戸猫 浮世絵猫づくし』

  • URLをコピーしました!
 ※当ブログのリンクには広告が含まれています。
 ※画像の左下にある「引用元」のリンクをクリックしていただくと元のファイルをご覧になることができます。

猫と浮世絵が大好きなあなたに。

風俗三十二相『うるさそう』 1888年(明治21年) 月岡芳年
風俗三十二相『うるさそう』 1888年(明治21年) 月岡芳年
目次

『江戸猫 浮世絵猫づくし』

江戸猫 浮世絵猫づくし
  • 稲垣 進一 (著), 悳 俊彦 (著)
  • 出版社 ‏ : ‎ 東京書籍
  • 発売日 ‏ : ‎ (2010/5/15)
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 139ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4487804280
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4487804283

出た当時即買いしましたよ。 こんな本あるといいなと思っていました。 改めて、出版してくれてありがとうございます。

まず、見ていて楽しい気分になる本です。 クスリと笑うも良し、ニヤリとするも良し。

可愛いなあ、幸せそうだなあと思う絵もあります。

江戸時代の娘さんも絵師さんも猫が大好きだったんですね。

小中学生の頃は「あ、浮世絵ね」くらいにしか思っていませんでしたが、年齢を経た今見ると、描かれた江戸女性の艶めかしさにドキドキしてしまいます。

そして、抱っこされた猫ちゃんたちの表情の豊かさにも改めて驚かされます。

日本の方はもちろんですが、海外の猫好きさん浮世絵好きさんたちにも、ぜひ見て貰いたいです。

この本の目次

  • はじめに
  • 第一章 日々猫 猫は毎日生きている
  • 第二章 いたずら猫 猫があそぶ、猫であそぶ
  • 第三章 じゃれ猫 猫だって美人が好き
  • 第四章 はたらき猫 もしも猫の町があったら
  • 第五章 ワル猫 やっぱり猫はおそろしい!?
  • 解説❶ 浮世絵に描かれた猫
  • 解説❷ 国芳と猫

第一章「日々猫」から

歌川広重 後ろ姿の猫(名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣)

名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣 1857年 - 1858年 歌川広重 ブルックリン美術館蔵
名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣 1857年 – 1858年 歌川広重 ブルックリン美術館蔵

引用元:名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣

ブルックリン美術館Asakusa Ricefields and Torinomachi Festival, No. 101 from One Hundred Famous Views of Edo

「あっ、猫が描かれている」と思っただけで終わった中学生くらいの私。

冬の朝、まだ明け切らない朝。 飼い主の姿は見えませんが、半分ほど覗く器や、床に置かれたかんざしが、今なら意味有り気で気になります。

猫は何を見ているのでしょうか。

この絵についての『謎解き 広重「江戸百」』(集英社新書)の解説を見てみると、遠くに見えるのは浅草田圃の酉の町の賑わい。

「近景には新吉原の遊女の部屋を描いている」とのこと。

では遊女がこの猫の飼い主か、と思いながら見ていると、格子の間から遠くを眺める白猫の後ろ姿に「籠のなかの鳥」という単語を連想しませんか。

第二章「いたずら猫」から

第一章では可愛い猫の仕草多め。 第二章では、金魚やネズミを前に、ハンターの眼をした猫がいい ( ̄▽ ̄)

そして、私がこの本で一番気に入っているのは、この猫の「団扇絵」シリーズ。

歌川国芳 人間の扮装をした猫(猫のけいこ)

『猫のけいこ』 天保12年(1841年) 歌川国芳
『猫のけいこ』 1841年 歌川国芳

引用元:『猫のけいこ』

表紙で粋に踊る猫たちは第二章に掲載されています。

「猫のおどり」の手や足さばき、「猫のすゞみ」では船に乗ろうとする猫の芸者と船頭の表情がまた良いんですよねえ。

猫たちの着物に描かれた猫の好物など、一度気が付くと、次からはそういう遊びを探す楽しみが増えます。

物知りになるというより、鑑賞するのがより楽しくなると言いましょうか。

猫の当字(あてじ)

本書では「うなぎ」と「かつお」が紹介されています。

『猫の当字 かつを』 1842年頃 歌川国芳 大英博物館蔵
『猫の当字 かつを』 1842年頃 歌川国芳 大英博物館蔵

引用元:『猫の当字 かつを』

大英博物館Katsuo かつお (Bonito)(Bonito)

「つ」の中にかつおもいますねー。

下は「なまづ」。

こちらにも鯰がいます。

『猫の当字 なまづ』 1841年 - 1843年頃 歌川国芳 和泉市久保惣記念美術館蔵
『猫の当字 なまづ』 1841年 – 1843年頃 歌川国芳 和泉市久保惣記念美術館蔵

引用元:『猫の当字 なまづ』

こちらでは濁点が鞠になっています。

三文字目の「川」は、ひらがなの「つ」の元字(字母じぼ)なのだそうです。(参考:『浮世絵入門』 河出書房新社)

展覧会案内
和泉市久保惣記念美術館 和泉市久保惣記念美術館は、昭和57年に開館した和泉市立の美術館です。日本と中国の絵画、書、工芸品など東洋古美術を主に約11,000点を所蔵し、所蔵品をいかした年5回の企...

第三章「じゃれ猫」から

歌川国芳 賢女烈婦伝けんじょれっぷでん 大納言行成女だいなごんゆきなりむすめ

絵の蝶を本物と間違えてとびついた猫。

紙がまだふわりと舞っています。

賢女烈婦伝 大納言行成女 1842年頃 歌川国芳 大英博物館蔵
『賢女烈婦伝 大納言行成女』 1842年頃 歌川国芳 大英博物館蔵

引用元:賢女烈婦伝 大納言行成女

大英博物館Dainagon Yukinari musume 大納言行成女 (The Daughter of Dainagon Yukinari)(The Daughter of Dainagon Yukinari)

歌川国芳 みょうでんす十六利勘りかん 朝寝者損者あさねはそんじゃ

朝寝は損!というテーマ。

起きたばかりの女性は歯ブラシを手にしています。

妙でんす十六利勘 朝寝者損者 歌川国芳
『妙でんす十六利勘 朝寝者損者』 歌川国芳

引用元:妙でんす十六利勘 朝寝者損者

歌川国芳 山海愛度図会めでたいずえ はやくきめたい

娘が熱心に見ているのは占い札です。

「はやくきめたい」のは何でしょうかね?

『山海めでたいずえ はやくきめたい』 歌川国芳
『山海愛度図会 はやくきめたい』 歌川国芳

引用元:山海めでたいずえ はやくきめたい

歌川国芳 山海愛度図会めでたいずえ ヲゝいたい

愛猫にならじゃれて引っかかれても「おぉ、可愛い」ですよね。 イタイけど。

『山海愛度図会 ヲゝいたい』 1852年 歌川国芳 大英博物館蔵
『山海愛度図会 ヲゝいたい』 1852年 歌川国芳 大英博物館蔵

引用元:山海愛度図会 ヲゝいたい

大英博物館Object: Oo, itai おお,いたい (No. 7 Ouch! That hurts!)(No. 7 Ouch! That hurts!)

大の猫好きだったという国芳。 多くの猫の絵を残しています。

歌川国芳 自画像 1839年
歌川国芳 自画像 1839年

引用元:歌川国芳 自画像

仕事場の座布団を猫たちに占領されてしまっていますが、きっとそれはそれで幸せ。

歌川国芳 自画像(部分)
歌川国芳 自画像(部分)

引用元:歌川国芳 自画像(部分)

月岡芳年 風俗三十二相 うるさそう 

表記は「うるさう」。 猫可愛がりしてくる飼い主を若干迷惑がってる?

でもまぁいいか、という目で女の子を見ています。 彼女のことが大好きなんでしょうね。

猫の首輪、実は女の子の襦袢の掛け襟とお揃いの布です。

風俗三十二相『うるさそう』 1888年(明治21年) 月岡芳年
風俗三十二相『うるさそう』 1888年(明治21年) 月岡芳年

引用元:風俗三十二相『うるさそう』

「うるさそう」(うるささう)はこちらにも載っています

個人的にはこのコミックもおすすめです

洋の東西を問わず、猫と美女はよく似合います。

『少女と猫』( Fillette avec un chat ) 1800年代 シャルル・シャプラン ルーマニア国立美術館蔵
『少女と猫』 1800年代 シャルル・シャプラン ルーマニア国立美術館蔵

引用元:『少女と猫』 Yelkrokoyade

『猫を抱く少女』 1875年頃 ピエール・オーギュスト・ルノワール ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『猫を抱く少女』 1875年頃 ピエール・オーギュスト・ルノワール ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵

引用元:『猫を抱く少女』

ナショナル・ギャラリー・オブ・アートWoman with a Cat

ちょっと嫌がってます?

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次