古代エジプトに旅行。行ってみたいですよねえぇ。あなたなら何を観たいですか?お土産には何を選べばいいかな?行くのならこのガイドブックが必携。ラムセス2世の時代に時間旅行です。
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons) CC-BY-SA-3.0-migrated
『古代エジプト王国 トラベルガイド』
著者のブース( Charlotte Booth )氏は英国の大学でエジプト考古学を学び、2018年バーミンガムにて博士号を取得されています。
ブース氏はエジプト学者にはならず、エジプトもの以外の本も出されるなど、現在は執筆活動に勤しまれているようです。
翻訳者は月森佐知氏。
『古代エジプト女王・王妃歴代誌』『ヒエログリフがわかる絵本』『古代ローマ帝国トラベルガイド』などを訳されています。(本持ってます(*’▽’) 綺麗なお名前なので印象に残っていました)
このお二人のお名前で、本書に対する信頼度は高まります。
どこかのライターが、てきとーに面白おかしく、想像で書いたものではないということですね。
本の装丁はハンディタイプのガイドブックみたいです。
古代人が執筆したガイドブックのかたちを取って、古代エジプトの観光スポットやグルメ、宿泊などの情報満載。
何処に泊まろうか、何を食べようか、考えただけでわくわくしてしまいます!
- シャーロット・ブース(著)、月森佐知(訳)
- 出版社 : 創元社
- 発売日 : 2010/3/18
- 単行本(ソフトカバー) : 160ページ
- ISBN-10 : 4422214918
- ISBN-13 : 978-4422214917
この本の目次
- 第1章 エジプトって、どんな国?
- 第2章 古都テーベ
- 第3章 テーベ以外の観光スポット
- 第4章 エンターテイメント
- 第5章 旅の基本情報
- 第6章 基礎知識
行き先は紀元前1214年、ラムセス2世の時代
引用元:ラムセス2世像 Nina Aldin Thune – Nina CC-BY-SA-3.0-migrated
やっぱり行くからにはその国のことを知らないといけません(知らなくてももちろん楽しめます)。
エジプトの神々、社会構造、ミイラ作り、軍隊、結婚・離婚。
私が知りたいのは、庶民たちがどんな格好をして、どんな食事をし、何を楽しみに日々暮らしていたのかなということです。
このガイドブックには食事情やナイトライフなどの観光に関する事柄だけでなく、文学、経済状況などもきちんと載っていますので、得ることができる情報は思った以上に多いです。
なにしろ大昔のことですので、まだ解明されていないこともたくさん有ると思います。今後の研究に期待しています。
本書のように、手に取りやすい書籍がいっぱい世の中に出てくれば、若い読者の中には古代エジプトに興味を持ち、将来学者を志す方もいらっしゃるかもしれません。
そういう意味でもこうした本はとても有益だと思います。
観光スポット
本書では古都テーベの観光スポットが掲載されています。
王家の谷、カルナック神殿、ルクソール神殿、トトメス3世神殿などなど、どれも憧れの人気の観光地ばかり。
今回の旅行先はラムセス2世の時代の古代エジプトです。
アブ・シンベル神殿、王妃ネフェルタリ墓、ラメセウムのメリトアメン像と、ラムセス2世関連を中心に巡るツアーを企画しようと思います。
引用元:アブ・シンベル大神殿 Olaf Tausch CC-BY-3.0
引用元:メリトアメン像 Djehouty CC-BY-SA-4.0
現地でショッピング(アクセサリーが欲しい!)
骨董好き、アクセサリー好きの私としては、まずビーズのアクセサリーが欲しいな。それって、確実に一点物でしょ。
観光中、食事もしなくてはいけませんね。古代のパンて、どんな味なんでしょうか。あ、ビールも当然試飲します。
お肌に塗る香料も調達しなくちゃ。エジプトは日差しが強いですからね。エジプトの有名な高級香料、キフィなら間違いないでしょう。
本書でもアクセサリーや香料がおススメのお土産に挙げられています。
装身具の細工師
中王国時代には、ビーズや金を材料にした、みごとな装身具が作られるようになった。こうした装身具を買い物リストに加えよう!おみやげにすれば、きっと喜ばれるはずだ。
だが、美しい作品を生みだしているというのに、装身具の細工師に対する世間の評価は、かなりひどい。中王国時代に書かれた「職業の風刺」(『ドアケティの教訓』より)には、彼らは「ワニのような指」をして、「魚の卵よりもくさい」と書かれている!
だが、装身具作りの各工程を担当する細工師は、金銀や銅を溶かし、成形する。ビーズの細工師は「舞い錐」で準宝石に穴をあけたあと、できあがったビーズを磨く。ほかにもビーズを亜麻糸に通して、装身具を完成させる職人もいる。
シャーロット・ブース(著). 月森佐知(訳). 2010-3-10. 『古代エジプト王国 トラベルガイド』. 創元社. p.19.
細工師に対する評価がひど過ぎなのが泣けますが、エジプト展で見るアクセサリーはどれも手が込んでいて、その技、そのデザイン、時空を超えてもなお輝きを保ち、少しも色褪せません。
発掘されたアクセサリー
ファラオ・センウセレト2世の娘、シトハトホルユネト王女のネックレスです。
メトロポリタン美術館:Necklace of Sithathoryunet
ネックレスは、金、カーネリアン、ラピスラズリ、アメジスト、グリーン・フェルドスパー(長石)などでできています。
シトハトホルユネト王女の父親センウセレト2世( Senusret II, 在位:紀元前1897年-紀元前1878年)は、古代エジプト第12王朝第4代ファラオです。
下の画像は、古代エジプト第12王朝の第6代ファラオ・アメンエムハト3世( Amenemhat III, 在位:紀元前1842年-紀元前1797年または紀元前1860年-紀元前1814年)の名前入りのアクセサリーです。
引用元:タカラガイの飾り帯、ブレスレット、アメンエムハト3世の名前のあるブレスレット、アンクレット CC-Zero
『古代エジプト女王・王妃歴代誌』によれば、アメンエムハト3世はシトハトホルユネトの息子、または養子とのことです。
次は新王国時代、第18王朝のファラオ、トトメス3世(在位:紀元前1479年頃-紀元前1425年頃)の、アジア人の妃たちの墓から出土した装飾品。
引用元:トトメス3世妃の頭飾り CC-Zero
メトロポリタン美術館:Rosettes — see 26.8.117a
美しい頭飾りですよね。これと似たロゼット文様の飾りが、東京上野の国立博物館に収蔵されています。
ネックレスにブレスレット、頭飾り。最後はあなたの胸元を豪華に演出する襟飾りです。
この立派な襟飾りはファイアンス、金、カーネリアン、トルコ石からできています。
メトロポリタン美術館:Broad collar of Senebtisi
メトロポリタン美術館の解説によると、「ファルコンの頭と葉のペンダントは元々金メッキされた石膏で、金メッキされた銀で復元された。ファルコンの目は元々金メッキされたビーズで、金メッキされた石膏で復元された」とあります。
『古代エジプト王国 トラベルガイド』の「通貨」の項目のコラムで、
現在の相場
エジプトは宝飾品の製造で有名で、比較的安く買うことができます。それでも、質のよい宝飾品は、やはり値がはることも頭に入れておいてください。ファイアンス(青色の彩色陶器)のネックレスは、安いところで5デベンから買えます。ラピスラズリ(青金石)のネックレスは、最低でも8デベンはします。それと同じくらいの品質の金のネックレスは銅36デベンで、若いロバ1頭と同じだけの価値があります。
シャーロット・ブース(著). 月森佐知(訳). 2010-3-10. 『古代エジプト王国 トラベルガイド』. 創元社. p.133.
ファイアンスでできているアクセサリーも素敵ですが、ラピスラズリが使われていれば、それはやはりお高いのですね。
オシリス神の石であるラピスラズリは、インダス文明圏の地域から輸入されたものだったのです。
古代エジプトには行けないけど、オンラインでなら気軽に世界遺産へ行けます
\ 次の旅行の下見にも /
書いた方は異なりますが、古代ローマのトラベルガイドも出ています。古代エジプトに古代ローマ、あー、本当に行ってみたいぃ。というわけで、私と同じように古代にタイムスリップ希望の方、どうぞ。
あまりエッセイは読まないのですが、この方たちのものは別です。少し年月が経ってしまっていますが、面白いので推します。エジプトを旅行したくなりますよ( ̄▽ ̄)。逆に、「これ読んだらもう行った気になったからいいわ」ってなるかも。