ルーヴル美術館収蔵の「うずくまるヴィーナス」像。出土した所の地名を取って、「ヴィエンヌのヴィーナス」の名が付いています。

『うずくまるヴィーナス』( Vénus de Vienne du type de l'”Aphrodite accroupie” ) 紀元前175年 – 紀元前100年
, MNB 1292 ; Ma 2240.1 Vénus de Vienne du type de l'”Aphrodite accroupie”
2025年9月展示されていません

引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
発見は1828年。フランスのイゼール県ヴィエンヌ( Vienne )、サント・コロンブの浴場で出土したことで、「ヴィエンヌのヴィーナス」の通称でも知られています。
ローマ神話のウェヌス(英語ではヴィーナス)は愛と美の女神です。

引用元:『うずくまるヴィーナス』 Carole Raddato CC-BY-SA-2.0
成熟した女性の体の美しさを表現。 適度についた脂肪がいい感じです。
像の頭、左腕、上腕二頭筋から右腕、右足の大部分、足首、左足のつま先足が欠けており、左膝と胸にも大きな欠けがありますが、この像の美しさ、色香は少しも損なわれていません。 良いですよねえ。
そして背中には小さな手形が。

引用元:『うずくまるヴィーナス』 FASTILY CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0
何の予備知識なしで見たらびっくりしますよね。
現在は失われていますが、ヴィーナスの背後にはヴィーナスの息子アムール(エロス)がいたようです。
アムール(エロス)がいる「うずくまるヴィーナス」像も掲載
この像について、『一生に一度は見たい ルーヴル美術館 BEST100』から引用します。
紀元前3世紀のドイダルセスによるうずくまるヴィーナス像は数多のコピーを生んだ。そのうちに腕の形が変わったり、アレンジされたりしたものも多い。この像のようにコピー元にはなかったエロス(子どもの姿の神)を伴ったものもある(現在はヴィーナスの背に小さな手が残っているのみ)。膝をつかずにかがみ、右手でうなじに水をかけるこのポーズを取ろうとすると、腿を閉じた状態ではかなり無理があるが、奥ゆかしさをもたせると同時にピラミッド型の構成を強調することに成功している。
大友義博(監修). 2014-10-12. 『一生に一度は見たい ルーヴル美術館 BEST100』. 宝島社. p.90.
以前のルーヴル美術館のサイトでは、「 Vénus de Vienne 」となっていましたが、現在(2025年9月)は「 Vénus de Vienne du type de l’”Aphrodite accroupie” 」となっています。(Google翻訳では、『「うずくまるアフロディーテ」型のウィーンのヴィーナス』)
※「ウィーンのヴィーナス」とありますが、Vénus de Vienne 「ヴィエンヌのヴィーナス」です。
『うずくまるヴィーナス』の作者は古代ギリシャ(紀元前3世紀半ば)のドイダルサス(ドイダルセス)と言われていますが、現在のサイトに「ドイダルサス」の名は見えません。
このローマ時代の模刻は大理石。 オリジナルの像はブロンズ製でした。

描かれた『うずくまるヴィーナス』

引用元:『美術館への訪問者』
ルーヴル美術館収蔵の「うずくまるヴィーナス」
『うずくまるヴィーナス』 ローマ時代の模刻
, MR 371 ; N 205 ; Ma 53 statue
2025年9月展示されていません

引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
『うずくまるヴィーナス』 ローマ時代の模刻
, MR 372 ; N 261 ; Ma 5 statue
2025年9月展示されていません

引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
仕草ひとつで、随分印象が違いますよね。
本作ですが、以前のページが、2025年9月現在は見ることができません。今は存在しない??
当時のルーヴル美術館の解説には、「オリジナルはブロンズ製、元はカミーユ・ボルケーゼ侯爵のコレクション」とありました。
マッシモ宮のヴィーナス

引用元:『うずくまるヴィーナス』 MM CC-BY-SA-4.0
ローマのマッシモ宮殿にもローマ時代の模刻があります。
数多くの模刻が作られていることから、このテーマが当時の人びとにすごーく好まれていたんだなと改めて思います。
「レリー・ヴィーナス」( Lely Venus ) 大英博物館蔵

引用元:『レリーのヴィーナス』(アフロディテ) Marie-Lan Nguyen
1600年代初頭のゴンザーガ家の財産目録に、「最も美しい彫像」として記録されたヴィーナス像。
目にしたルーベンスが、イングランドのチャールズ1世に購入を勧めています。
「レリー・ヴィーナス」に関する記事
『図説 ギリシア神話【神々の世界】篇』では『蹲るアプロディテ』として紹介されています。古代彫刻多めで、解説もわかり易いです
