ルーヴル美術館収蔵の「うずくまるヴィーナス」像。出土した所の地名を取って、「ヴィエンヌのヴィーナス」の名が付いています。
『うずくまるヴィーナス』( Vénus de Vienne ) 1世紀 – 2世紀頃 ルーヴル美術館蔵
引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
, MNB 1292 ; Ma 2240.1 Vénus de Vienne
発見は1828年。フランスのイゼール県ヴィエンヌ( Vienne )、サント・コロンブの浴場で出土したことで、『ヴィエンヌのヴィーナス』の名が付いています。
ローマ神話のウェヌス(英語ではヴィーナス)は愛と美の女神です。
『うずくまるヴィーナス』の作者は古代ギリシャ(紀元前3世紀半ば)のドイダルサス(ドイダルセス)と言われています。
引用元:『うずくまるヴィーナス』 Carole Raddato CC-BY-SA-2.0
成熟した女性の体の美しさを表現。適度についた脂肪がいい感じです。
像の頭、左腕、上腕二頭筋から右腕、右足の大部分、足首、左足のつま先足が欠けており、左膝と胸にも大きな欠けがありますが、この像の美しさ、色香は少しも損なわれていません。良いですよねえ。
そして背中には小さな手形が。
引用元:『うずくまるアフロディーテ』 FASTILY CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0
何の予備知識なしで見たらびっくりしますよね。
現在は失われていますが、ヴィーナスの背後にはヴィーナスの息子アムール(エロス)がいたようです。
紀元前3世紀のドイダルセスによるうずくまるヴィーナス像は数多のコピーを生んだ。そのうちに腕の形が変わったり、アレンジされたりしたものも多い。この像のようにコピー元にはなかったエロス(子どもの姿の神)を伴ったものもある(現在はヴィーナスの背に小さな手が残っているのみ)。膝をつかずにかがみ、右手でうなじに水をかけるこのポーズを取ろうとすると、腿を閉じた状態ではかなり無理があるが、奥ゆかしさをもたせると同時にピラミッド型の構成を強調することに成功している。
大友義博(監修). 2014-10-12. 『一生に一度は見たい ルーヴル美術館 BEST100』. 宝島社. p.90.
アムール(エロス)がいる「うずくまるヴィーナス」像も掲載 身をよじるヴィーナスの彫刻『うずくまるヴィーナス』
下は、腕を上げている、ルーヴル美術館所蔵のヴィーナス像。
引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
, MR 371 ; N 205 ; Ma 53 statue
引用元:『うずくまるヴィーナス』 Jastrow (2007)
, MR 372 ; N 261 ; Ma 5 statue
古代ギリシャの彫刻家 プラクシテレスの、「クニドスのアフロディーテ(ヴィーナス)」から大まかに派生したもの、と Wikipedia の解説欄にありました。
ルーヴル美術館の解説には、オリジナルはブロンズ製、元はカミーユ・ボルケーゼ侯爵のコレクションとのことです。
描かれた『うずくまるヴィーナス』
引用元:『美術館への訪問者』
マッシモ宮のヴィーナス
ローマのマッシモ宮殿にもローマ時代の模刻があります。
引用元:『うずくまるヴィーナス』 MM CC-BY-SA-4.0
多くの模刻が作られていることから、このテーマが当時の人びとにすごーく好まれていたんだなと改めて思います。
『図説 ギリシア神話【神々の世界】篇』(河出書房新社)では『蹲るアプロディテ』となっています。古代彫刻多めで解説もわかり易いです。
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