水に入る前にサンダルを脱ごうとするヴィーナス(ヴェヌス)。金色のビキニを着ています。
『ビキニのウェヌス』( Statuette of “Venus in a bikini” )
引用元:『ビキニのウェヌス』
Statuette of “Venus in a bikini” ナポリ国立考古学博物館:
あっ、古代の女神像がビキニ着てる!と、ちょっと不思議な気がします。
モダン? 全裸よりエロティック? いや、もしかして衣装の塗料が剥げた、その痕が残っててビキニに見えるだけ?
様々な考えが脳内を駆け巡ります…。
ローマ神話のヴェヌスは、ギリシャ神話のアフロディテ(アプロディテ)に当たり、英語では「ヴィーナス」と表記されます。
オリジナルはヘレニズム時代、こちらはローマ時代のコピーです。
女神像は大理石で作られており、目は練りガラスだそうです。
耳にはピアスの穴がありますが、イヤリングは失われています。(見たかったですね。残念。)
引用元:『ビキニのウェヌス』 CC-BY-SA-2.0 ho visto nina volare
「ビキニ!」の衝撃が去った後じっくり見てみると、衣装のデザインがすごく凝っていることに気付きます。
引用元:『ビキニのウェヌス』
女神は沐浴のため、履き物を脱ごうとしているところ。
足元には小さなクピドがいて、サンダルの底に手を当てています。
引用元:『ビキニのウェヌス』
女神は欠損した左腕を裸の男性像の上に置いています。
引用元:『ビキニのウェヌス』 CC-BY-SA-2.0 ho visto nina volare
髭を生やした男性像は、豊穣を司る神プリアポス(英語表記で Priapus 、プリアプス)。
クピド同様アフロディテの息子で、髭と大きな陰茎が特徴です。
このプリアポスの陰茎周辺にも、ウェヌスのビキニや首周りと同じく金彩が施されています。
「ビキニのヴェヌスの家」
『ビキニのウェヌス』像は、79年のヴェスヴィオ火山の噴火で灰に埋もれてしまった家から発見されました。
1913年に発掘されたこの家は、最初「マクシムスの家」と呼ばれていましたが、1952年から1954年にかけて行われた調査でビキニの女神像が発見されたことから、「ビキニのヴェヌスの家」と呼ばれます。
『特別展 ポンペイ』(2022年)の図録によれば、「彫像はアトリウムのインプルウィウム後方の、つくりつけの直方体の支柱の上で発見された。」とのことです。
『ビキニのヴェヌス』の家
アトリウムについて
インプルウィウムについて
『小像(サンダルの紐を解くヴィーナス)』 1世紀 ルーヴル美術館蔵
引用元:『サンダルの紐を解くヴィーナス』 Shonagon CC-Zero CC-BY-SA-4.0
statuette, ( MND 2333 ; Br 4417.1 ) ルーヴル美術館:
同じポーズの像は他の美術館にもあり、ルーヴル美術館収蔵のこの小像はブロンズ製。
金の腕輪がステキ。
彫像の写真が多く、とても勉強になる一冊だと思います。
こちらは名画
「特別展 ポンペイ」で展示されていたパンの写真も掲載しています
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