軽やかで官能的なロココ絵画の最後を飾る画家フラゴナール。代表作である『ぶらんこ』がよく知られていますが、今回は、柔らかな光に満ちた室内で微笑む、メトロポリタン美術館のカワイイ女性の絵をご紹介します。
『ラヴ・レター(『恋文』)』( The Love Letter ) 1770年代 ジャン・オノレ・フラゴナール
引用元:『ラヴ・レター(『恋文』)』
花束と手紙を手に、こちらを見ながら微笑む女性。
モデルが特定されていないので、この絵画は肖像画というより「風俗画」に分類されることが多いようです。
柔らかな光のなかに浮かぶドレスやヘアキャップが、ロココ時代の甘やかな雰囲気を伝えてくれますよね。
女性の頬の色が「恋の予感」「意中のひとからの恋文」に上気して染まる頬であったら更にロマンティックなのですが、このロココ期のお化粧の特徴のひとつに、「濃い目の頬紅」があります。
口紅もつけているようですから、やっぱりお化粧の方でしょうね。
引用元:『ラヴ・レター(『恋文』)』
フラゴナールの作品は、テーマによって雰囲気がずいぶん異なります。
ぱっと見ると、同じ画家のものだと思えないほどです。
この作品では柔らかい光と、暗部の「茶色」が非常に印象に残ります。
見方によっては、褐色がシブいツヤ消しの金色にも見えてきませんか?
メトロポリタン美術館の解説によると、
全体を褐色に塗ったキャンバスに、暗褐色で構図を決め、筆先や異なる太さの筆遣いで線描や立体感を表しています。褐色以外の色と白の使用は、化粧をした若い女性の顔、ドレスと帽子、机、腰掛、花、犬など、作品の中心の明るい光が当たっている部分に限られています。
メトロポリタン美術館の解説 一部抜粋
とあります。
影の部分が暗くないせいで、全体が軽やかで華やかな雰囲気なのでしょう。
引用元:『ラヴ・レター(『恋文』)』
ちなみに、女性が手にしているカードの文字は判読できないそうです。
それも鑑賞者の想像をかき立てますよね。
引用元:『ラヴ・レター(『恋文』)』
サイズが選べる額装
ジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard, 1732年4月5日-1806年8月22日)
引用元:ジャン・オノレ・フラゴナール
フランスのロココ美術を代表する画家です。
ブーシェやシャルダンに学び、ロココ文化の時代の最後を飾りました。
『ぶらんこ』 1768年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ウォレス・コレクション蔵
引用元:『ぶらんこ』
ロココの絵画って言ったらやっぱコレだねと思う、『ぶらんこ』です。
『ベッドで犬と遊ぶ少女(ラ・ジャンブレット)』 1765年-1772年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール 個人蔵
『読書する娘』 1770年-1772年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵
引用元:『読書する娘』
バスティーユ牢獄内部 1785年 ジャン・オノレ・フラゴナール
引用元:フラゴナール画 1785年
『かんぬき』 1776年-1779年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ルーヴル美術館蔵
引用元:『かんぬき』
- メトロポリタン美術館ガイド 日本語版 エリクセン・トランスレーションズ・インク (監修) ミュージアム図書
- 『禁断の西洋官能美術史』 別冊宝島
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