ドレスの黄色と背景のブラウンが印象的なフラゴナールの『読書する娘』

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黄色のドレスと美しい横顔が印象的な『読書する娘』。下絵の段階では横顔ではなく、こちらに顔を向けていました。

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』( Young Girl Reading ) 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
目次

『読書する娘』 ジャン・オノレ・フラゴナール / Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard

『読書する娘』 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』(Young Girl Reading ) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵

引用元:『読書する娘』

ナショナル・ギャラリー・オブ・アートYoung Girl Reading

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』 ジャン・オノレ・フラゴナール

引用元:『読書する娘』

モデルの名は不明ですが、富裕階級の令嬢でしょうか。

ドレスもクッションも、立派なものですね。

クッションはふかふかして、実に心地よさそうです。

何より、女性の着ているドレスの色がとても印象に残ります。

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』 ジャン・オノレ・フラゴナール

引用元:『読書する娘』

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』 ジャン・オノレ・フラゴナール

引用元:『読書する娘』

肘の部分やリボン、本のページ、指先はこんな風に描かれていたのですね。

色づかいについて

『色で読み解く名画の歴史』では、エンパイア・イエローを代表する絵画として『読書する娘』を挙げています。

更にその背景色についても言及があります。

またもうひとつの風俗画『読書する少女』(1776年)ではルーベンスを思わせる鮮やかな黄色を素早いタッチで塗っている。さらに、背景のビチューメン・ブラウンがスケッチのような粗い筆遣いで塗りつくされて、少女の鮮やかなエンパイア・イエローと白の衣裳をひときわ引き立たせている。黄色は当時の流行色であり、フラゴナールは好んで黄色い衣裳を着た人物像を数多く描いている。陽の光を照り返す薄紫のクッションが、その影のアンバーとの対比によって、一層、陰影を濃いものにしている。ロココの断片を切り取った見事な風俗画である。

城一夫・橋本実千代(著). 2013-1-22. 『色で読み解く名画の歴史』.PIE. p.70.

ここに書かれているように、女性の衣裳はやわらかい褐色や光を反射する薄紫のクッションに囲まれて、眩しく美しく浮かび上がっています。

『読書する娘』(Young Girl Reading by Jean-Honoré Fragonard, c. 1769, National Gallery of Art) 81.1 × 64.8 cm 1769年頃 ジャン・オノレ・フラゴナール ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート蔵
『読書する娘』 ジャン・オノレ・フラゴナール

引用元:『読書する娘』

フラゴナールの絵では背景に用いられているビチューメン・ブラウン( Bitumen Brown )が重要な役割を果たし、主調色のピンクや黄色を一層、引き立てている。

城一夫・橋本実千代(著). 2013-1-22. 『色で読み解く名画の歴史』.PIE. p.70.

ビチュメンとは?

語彙の乏しい私などは、ビチューメン・ブラウンも大きく「茶色」の一言で括ってしまいますが (^^;、「ビチューメン」、「ビチュメン( Bitumen )」とは、瀝青(れきせい)、天然アスファルトのことです。

ミイラのことを英語で「mummy」といいますよね。

その語源はペルシア語でビチュメンを意味する「ムーミヤ」であるとされています。

ビチュメンは、中世のヨーロッパで万能薬のような扱いを受けてきました。

エジプトで発掘された古代のミイラには稀少なビチュメンが塗布されていると思われていました。

その結果ミイラは粉末にされ、「薬」にされてしまったり、絵具(「マミー・ブラウン」ともいう茶色、褐色の絵具)として使われたりしました。

香油とミイラ 古代エジプトのミイラの使い道

『色で読み解く名画の歴史』に載っている色彩の一覧に、この「ビチューメン・ブラウン」の色見本も載っています。時代時代の流行色の解説も勉強になりますが、ステキな名前が付いている色もたくさんあり、名前を見ていくだけでも結構楽しいです

関連記事【hanna and books】

『色で読み解く名画の歴史』で色彩の歴史や効果が学べる

「空想人物画」のひとつ

クラシカルな美少女満載の『美少女美術史 人々を惑わせる究極の美』ではこのような記述があります。

フラゴナールは少女をモデルにさまざまなポーズをとらせた「 figures de fantasia (想像人物画)」と呼ばれる早描きの肖像画シリーズを得意としており、本作品もその1枚と思われる。

池上英洋・荒井咲紀(著).2017-6-30.『美少女美術史 人々を惑わせる究極の美』.ちくま学芸文庫.筑摩書房. p.168.

「空想人物画」「想像人物画」( fantasy portraits, Portraits de fantaisie )とは、フラゴナールによって描かれた「早描き」の連作の肖像画です。

『読書する娘』はそのうちのひとつと見られています。

2009年にリチャード・ランドによって徹底的に目録化され、論じられた際、ジャン・オノレ・フラゴナールの『読書する少女』は、重要な留保条件付きではあるものの、画家のいわゆる「幻想の人物像」または「幻想の肖像」と関連付けられた。これらは、色鮮やかな仮面舞踏会の衣装を身にまとい、印象的な劇的なポーズをとる男女の半身像を、ゆるやかで身振り的な筆致で描いたものである。[1]この絵画は、画家の作品の中でも特に愛されている作品群であると同時に、最も謎めいた作品群でもあり、そのため最も多くの議論を巻き起こしてきた。制作理由は不明であり、実在の人物を描いたものかもしれないし、そうでないかもしれない。その後の研究と最近の動向は、3つの最近の出版物とウェブサイトで詳細に検討されている。[2]―は、フラゴナールの「読書する少女」や幻想的な人物像シリーズ全般に新たな光を当てた。(Google翻訳)

ナショナル・ギャラリー・オブ・アートFrench Paintings of the Fifteenth through Eighteenth Centuries: Young Girl Reading, c. 1769

メトロポリタン美術館にある「空想人物画」

ルーヴル美術館にもあります

下絵の「ポーズ」

下絵段階では、女性のポーズが違っていました。

近年のX線による調査で、女性はこちらに顔を向けていたことがわかっています。

X線調査で判った下絵段階のポーズ 1770年 Young girl reading, xray
X線調査で判った下絵段階のポーズ 1770年

引用元:X線調査で判った下絵段階のポーズ https://nl.pinterest.com/pin/415105290630780484 CC-PD-Mark

ナショナル・ギャラリー・オブ・アート掲載の論文「French Paintings of the Fifteenth through Eighteenth Centuries: Young Girl Reading, c. 1769」(By Yuriko Jackall)から引用します。

The X-radiograph was originally thought to reveal an earlier painting underneath the current head showing the head of a man wearing a feathered hat. Further analysis (false-color infrared imaging and XRF elemental mapping of both lead white and vermillion) conducted between 2013 and 2015 produced images indicating that the underlying head is actually that of a woman wearing a beaded and feathered headdress, her face turned out to gaze directly at the viewer. Due to an increase in the translucency of the surface paint, the outline, eyes, and feathered headdress of the woman are now slightly visible as pentimenti.

ナショナル・ギャラリー・オブ・アートFrench Paintings of the Fifteenth through Eighteenth Centuries: Young Girl Reading, c. 1769

Google翻訳:X線写真では、当初、現在の頭部の下に羽根飾りのついた帽子をかぶった男性の頭部を描いた以前の絵画が発見されたと考えられていました。 2013年から2015年にかけて実施されたさらなる分析(擬似カラー赤外線画像と鉛白および朱色のXRF元素マッピング)により、下地の頭部は実際にはビーズと羽飾りのついた頭飾りをつけた女性のもので、顔をこちらに向けて鑑賞者を見つめているという画像が得られた。表面の絵具の透明度が増したため、女性の輪郭、目、羽飾りの頭飾りがペンティメントとしてわずかに見えるようになった。)

「鑑賞者に顔を向ける」構図というところで、フラゴナールの『ラヴ・レター』を思い出しました。

なんとなく似ていませんか?

『ラヴ・レター(『恋文』)』(The Love Letter by Jean-Honoré Fragonard, early 1770s, The Metropolitan Museum of Art) 83.2 × 67 cm 1770年代初頭 ジャン・オノレ・フラゴナール メトロポリタン美術館蔵
『ラヴ・レター(『恋文』)』 1770年代初頭 ジャン・オノレ・フラゴナール メトロポリタン美術館蔵

引用元:『ラヴ・レター(『恋文』)』 CC-Zero

メトロポリタン美術館The Love Letter

『ラヴ・レター(『恋文』)』の背景もブラウンです。とても柔らかい感じ。

フラゴナールが描く花束と手紙を持つ女性『ラヴ・レター』

出生地グラースのフラゴナール像

ジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard, 1732年4月5日 – 1806年8月22日)

A・マイヨール(1864年 - 1944年)によるジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard, 1732年4月5日 - 1806年8月22日)像
A・マイヨール(1864年 – 1944年)によるフラゴナール像

引用元:A・マイヨール(1864年-1944年)によるフラゴナール像 ColdisAmazing CC-BY-SA-3.0

A・マイヨール(1864年 - 1944年)によるジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard, 1732年4月5日 - 1806年8月22日)像
A・マイヨール(1864年 – 1944年)によるフラゴナール像

引用元:像全体 Berthold Werner CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0

ロココっぽい像です。

フラゴナールさん、二枚目ですね (^^)

自画像はこんな感じです。

ジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard, 1732年4月5日 - 1806年8月22日) 1760年 - 1770年頃の自画像 Villa musée Fragonard蔵
ジャン・オノレ・フラゴナール 1760年 – 1770年頃の自画像 Villa musée Fragonard蔵

引用元:ジャン・オノレ・フラゴナール

美少女を描いた絵ってこんなにあるんだ、と改めて思いました。『美少女美術史』は、美少女の掲載量も多く、見応えがあります。私は結構好きです(^^)。目の保養に加えて教養も身につく一冊

主な参考文献
  • 池上英洋・荒井咲紀(著).2017-6-30.『美少女美術史 人々を惑わせる究極の美』.ちくま学芸文庫.筑摩書房.
  • 城一夫・橋本実千代(著).2013-1-22. 『色で読み解く名画の歴史』.PIE.
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